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長坂養蜂場

CL:長坂養蜂場(静岡県浜松市)

媒体名:BUN BUN WINTER GIFT
取材/ライティング:Switch Inc. @furutake_fumika
写真:コンドウミカ @mica_photo

長坂養蜂場様のギフトカタログ内のコーナー「想いのバトン」の記事制作を担当させていただきました。
大変心に残る内容でしたので、全文をこちらでも掲載させていただきます。

母から息子へ
ぬくもりの源にある厳愛と慈愛

<社長>
長坂養蜂場の経営理念にある”ぬくもりのある会社をつくりましょう”の「ぬくもり」は、僕の幼少期の体験からも影響を受けています。今日はその話をしたいなと思って。小学校低学年のころだったかな、憶えてますか?

<お母様>
夏休みの終わりの話しね。もちろん憶えているわよ。あの頃のあなたは、とてもやんちゃで手が付けられないこともあって。宿題もなかなか終わらなくて、ある日私がつい手を貸してしまったのよね。あなたは、そのことをとても怒って暴れて。これまでの行いもあったし、このままではいけない!と強く思ったの。

<社長>
そのときは、もう夜でしたよね。僕はパンツ一丁のまま父と母に車に押し込められて、当時養蜂場があった山に連れて行かれて、木に縛り付けられて。今の時代だとあり得ないかもしれないけど(笑)

<お母様>
あなたは縛られても「バカヤロー!」ってずっと叫んでいて。私、このまま家に帰すのは違うなと思って、お父さんには先に車で帰ってもらったの。それからしばらくの間、木の陰でじっと待っていたら「バカヤロー」の声がどんどんか弱くなって、か細い「ごめんなさい…」に変わったのよ。

<社長>
それで、やっと母が出てきてくれて「もうわがままを言わないよ」と約束して。そこから片道一時間を徒歩で帰るんだけど、僕はパンツ一丁で靴も履いてなくて。そのとき、僕に言った言葉を憶えてますか?「足痛いね、お母さんも一緒に裸足で歩くね」と言ったんですよ。僕はその時、なんだかたまらない気持ちになって…。子どもながらに込み上げるものがあった。それで「お母さんは靴を履いて」って言ったんです。でも、結局裸足のまま歩いてくれた。

<お母様>
帰りに家の近くの神社にも寄ったわね。何をしていても神様はみているからね、わがままは言わないよって約束して。

<社長>
今思えば、身をもって厳愛と慈愛を知った出来事だったと思うんです。真にいい子に育って欲しいと願う愛ゆえの厳しい振る舞いも、根底に慈愛の心があれば相手に「ぬくもり」が伝わるんだと。それは親子だけじゃなくて、会社内でもそう。ぬくもりの源にあるのは厳愛と慈愛だと思ってます。

<お母様>
「お母さんは靴を履いて」って言ってくれたとき、私は本当に嬉しかった。暴れん坊でもこの子にはちゃんと優しさがあるって、胸が熱くなったの。あの夜、私もあなたからぬくもりもらっているのよ。

長坂養蜂場
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